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在庫が膨れる原因、削減する方法

1. 在庫を減らしましょうというが

 ある会社の資材部長と在庫の話をしていた時だ。我が社の在庫が多くて困っているので在庫を何とか減らせないだろうか、との質問があった。またある企業では、経理部長が在庫を減らすため、もう動いてない在庫を捨てます、とのことであった。
 最初の質問に対しては、それはどの在庫ですか?と返すことにしている。
 また後者に対しては、場当たり削減は何も解決しませんよと言っている。
 そもそも、在庫とひとくくりにして、何か漠然と捉えていないだろうか?また、在庫は悪いものだ?との妙な誤解に基づいて、とにかく削減すればいいのだ、などと考えていないだろうか。
 まず知らなければいけないのは、在庫を定義づけることである。
 さらに、在庫は削減するのでなく、適正化することだと認識する必要がある。
 そしてもっと大事なことは、在庫を物的に捉えるか、金額的(資金的)に捉えるかをごちゃごちゃにしないことだ。例えば物的に多いじゃないかというが、相場仕入で平均単価を低く抑えているのだというケースは多々見られるだろう。仕入ロットを抑えて細切れに発注しろというが、分割すればロット単価が上昇し、原価が上がるじゃないかということもあるだろう。
 つまり在庫管理とは、在庫水準の適正値を探っていくこと、それも限りなく物的に単品種まで追求していくこととなる。
すなわち、管理コスト=情報システム投資や人件費、物的在庫量と倉庫費用、仕入費用、支払サイトなどを勘案し、会社として妥協する水準が適正値なのである。
 では、在庫をどう捉えたらいいのか、その定義から見ていくことにしよう。

2. 在庫の定義

 図1にまとめたように、財務の視点から在庫を区分する場合とプロセス(工程と読み替えてもいい)から区分する場合がある。例えば、プロセス上は半製品や仕掛品だが財務上の計上では製品に入れてますなど、決算書上の数値と現場の数値の突合が非常にややこしいケースは注意が必要だ。それはプロセス上の在庫区分で在庫管理改善を進めていくと、それが財務上どうなのか?という段階でよくわからないとなり、経営者に在庫管理改善の真の意図が伝わらないからだ。自社の在庫定義を最初に整理しておくことをお勧めする。

図1 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 さて、ここからはプロセス視点で在庫を定義し、在庫の性質を分けることとしよう(図2)。

図2 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 在庫をプロセス視点から分類したら、性質区分を理解しておく必要がある。性質区分別に在庫を分け、自社内での在庫認識を統一し、議論や施策を打っていく。これは運転在庫の常備品だから欠品はできないな、その安全在庫は20個ですなどと議論が明確になるのである。
 さらにこれら性質区分の用語について理解を深めよう(図3)。

図3 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

3. 在庫が膨れる原因

在庫が膨れる原因の前に、運転在庫とその他在庫の違いを理解しよう。運転在庫とは経営の用途に使う、生きている在庫である。政策在庫とは自動的な管理などを超えて会社の政策として保有している在庫だ。過不足は政策的に決まるため今回の膨れ る原因からは除外とする。不要在庫、要除去品は、運転在庫、政策在庫のなれの果てと思えばいいだろう。四半期ごとに投入している靴に勝負をかけたが販売量よりはるかに多く(過剰在庫)シーズンを過ぎて売れ残った(陳腐化在庫)などである。
政策在庫を膨れる原因に入れてしまうと議論が散漫になるので、今回は運転在庫が膨れる原因について整理したい。
まず図4を見て頂きたい。

図4 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 在庫が膨れる原因は、図の中にある影を付けた四角が影響している。ここで注意したいのは、在庫が膨れる原因を現場の責任に転嫁しないことだ。ひとつひとつひも解いて在庫が膨れる原因を探っていきたい。
 在庫管理のすぐ下の図は、入荷から出荷まで2段階ある場合で、例えば原材料倉庫が在庫2、製品倉庫が在庫1とする。この場合、工程仕掛品は省略してある。
 在庫量を大きく決める要素として、右側に予算策定と営業販売管理の2つを挙げている。
 例えば計画生産を行っている場合の予算に基づく先行材料発注量と実際の製造、販売動向によって在庫量が変動するという具合だ。同じく、営業販売管理により近将来的な需要情報の信頼性が揺らいでいる場合も欠品を恐れて在庫が膨れていく原因となる。現在の会社においては予算策定を金科玉条のごとく死守するわけではないので、営業販売と原材料発注者、製造工程との連携が大きな課題となろう。
 左側の発注ロジックとは、発注方式のことだ(図5)。

図5 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 在庫が膨らむ原因の一つは、図のような方式、考え方を在庫補充時にしていない、言い方を変えれば経験則で在庫補充発注しているケースが考えられる。ではなぜ経験則が悪さするのかと言えば、経験則と言いながら前回通りの数量を発注していることが多いからだ。所謂効率的に発注をこなすためには致し方ないのかもしれない。
 例えば在庫管理を仕事にしている方に、この品目の安全在庫量はどのくらいですかと聞いたらいい。需要変動がありますので、ある計算式でスライドして安全在庫量を決めていますと答えれば、かなり学習している担当者だろう。要は、勘に頼らない姿勢を取っているかということである。
 それともう一つ、発注ロジックは一定の見解を与えてくれるが、発注ロット制限(発注先が最低受注量を決めていること)のためにどうしても計算通りにいかないという点に留意したい。じゃ、ダメじゃないかではなく、コントロールしていることが非常に重要なのである。
 また、在庫が膨らむ原因として、現品管理と帳簿管理及び棚卸管理の不備をセットで挙げたい。
 現品管理とは、在庫品の管理の仕方である。例えば図6のような基準を作って管理水準の高い会社と低い会社を比較する (図7)とその差が明確となった。

図6 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

図7 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 現品管理水準が低い会社は、どこに何があるのか、汚れたり破損したりで、発注精度が悪いと推定される。
 また帳簿管理を見ればその会社の在庫管理力が一目瞭然だ。伝票管理がいけないとは言わないが、在庫管理の肝は過去履歴にあり、季節変動や先を予測するに際して実績に基づく情報が非常に重要となるからだ。コンサルティングしたお客様の管理水準の違いによる帳簿/データと実棚卸の誤差を載せておく

図8 (Copyright 2011 CODON Co.,Ltd)

 もちろん情報システム化を進めても、ヒューマンの管理水準が低ければ数値精度は落ちるので、一概に情報システム化がいいと言っているわけではない。ただし多くの会社事例を見ると、丁寧に管理している会社の在庫の誤差率は低い傾向にある。
 そしてもう一つ、実棚卸の方法は盤石であろうか。実棚卸には2つの狙いがある。1つ目は帳簿残高と実棚卸残高を突き合わせて誤差を会計処理すること、2つ目は誤差と原因を突き合わせて、誤差をなくすための施策を実行することである。
 汚損、減耗、行方不明など誤差の原因を把握できない職場は、おおむねルーズになりがちであり、得てして発注量を多めにしている傾向があるからだ。ある意味、あらかじめ見積もって多めに発注していたりするからややこしい。

4. 在庫を削減する方法

 これまで述べてきたように、在庫が膨らむ原因は、在庫管理の要所要所に散らばっている。したがって、前章にあるような在庫管理上のポイントを自社に当てはめて一つ一つ検証していく必要がある。冒頭に述べた不要在庫の廃棄は場当たり処方箋 でしかないことはもうお分かりだろう。
複合的要因である場合もあれば、何か一つの原因かもしれない。
営業、製造、資材発注の連携問題かもしれないし、資材担当者の帳簿問題かもしれないのである。
 そして重要なのは、在庫削減は方向性として正しいのか、これすら自社に当てはめると分らないと認識する必要がある。
 なぜなら、品目ごとに在庫量は過不足状態であって、全体として過剰なのか不足なのか、どの水準が最適なのかは需要とのバランスによって変動しているからである。この点を注意しないと、期末決算書だけ帳尻合わせるか、となってしまい、本質的な在庫改善に至らない事態が想定される。

5. 在庫管理システム導入前にすべきこと

 システム化すればすべていいのか、それは確実にノーだろう。
 データ入力時の数値精度、タイミングによって誤差が生じたり、マスター改廃、短命商品のシステム外運用、仕入戻しや返品処理漏れなど様々な状況が想定される。それに対して会社は事前の業務改善を実施する必要がある。
 また部門間の問題も含むため、資材発注担当者、倉庫担当者だけを教育するのではなく、全社的な在庫管理教育が必要である。

以上

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